ボクノコト:役立たずで古いというだけで解体して更地にという思考への異議申し立て者

野田少年

 東武野田線は大宮と船橋を柏を経由して結んでいるローカル私鉄。何度か乗っていていつも野田市駅を通過するたびに気になっていた。
 野田 醤油の街 キッコーマンということは知っていた。
 7月の梅雨時の晴れの日に途中下車してみようと思った。
 期待はしない と心に言い聞かせていた。この国では、古いものは壊すということになっているのだ。
 駅を一歩踏み出すといきなりキッコーマンがウルトラマンのように立ちはだかる。
 野田線の線路沿いに歩きだす。きっとキッコーマンの工場への引き込み線跡があるはずだと思ったからだった。
 広大な工場沿いに歩き始めたが引き込み線跡はみつからない。聞くと元の野田町駅は現在の場所ではなく工場の中にあったという。
 土曜日とうこともあり工場には人がいない。
 そもそも野田の街中に人が見えないのだ。
 あ~、キッコーマンの街なのだな と分かるけれど それにしても醤油の匂いや古い醸造所跡くらいはあるだろうと思っていただけに、奇妙な国の現実を見せられたようだった。
工場敷地には有刺鉄線で囲まれた過去が少なからずありはするのだけれど、人気がない街のなかで過去は虚構のような感じがした。
 かなり歩いて古いコンクリート造りの倉庫群に入り込んでみた。
 人気はやはり無いのだけれど、コンクリート壁に野田少年のボールの痕があった。少しほっとした気持ちになった。

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